“任務”
その言葉に、どきり。とした。
そうだ。
エーテルは本来なら城で王を警護したり、城下町の治安を守る組織。
団員がばらばらに各地へ散っているのは、王からある任務を任されたからだ。
一緒に旅を始めたとはいえ、部外者の私が首を突っ込むのは少々躊躇いがあるが、気になるというのも本音である。
「あの…、任務って?」
おずおずと尋ねてみると、ランバートはさらり、と答えた。
「あぁ。一派の殲滅だよ。」
あまりにも軽々しく告げられたことに、言葉を失う。
殲滅とは、なんて重々しい単語だろう。
「びっくりした?」
柔らかな口調でそう尋ねるランバートに、私はぎこちなく頷きながら答えた。
「任務の内容にもびっくりしたけど…あっさり教えてくれたのにも驚いて。」
「そう?」
「前に聞いた時ははぐらかしたじゃない」
するとランバートは、あぐらに頬杖を付きながらにこりとする。
「まぁ、前はまだノアちゃんに素性を知られてなかったからさ。易々と話すことでもないかなって思って。」
私は、そんなランバートに尋ね返した。
「じゃあ、“探しものをしてる”って言ったのは、嘘なの?」
と、その時。
私の言葉に、イヴァンさんがわずかに眉を動かした。
ランバートは数回まばたきをした後、静かに呟く。
「嘘じゃないよ。それは、俺の特別任務の話。」
(特別任務…?)



