大剣のエーテル


と、その時。

もぞもぞと木陰で丸まっていた外套が動き、そこからひょっこりとミルクティー色の髪の毛が顔を出した。

寝ぼけている様子のランバートは、スープの匂いに引き寄せられるように鍋に近づいていく。


「こら、待て。」


「う"っ!!」


すかさずイヴァンさんがランバートの襟首を掴み制止する。

イヴァンさんは、ドスのきいた低い声で続けた。


「本の虫のお前なら、働かざるもの食うべからずという言葉を知っているだろう。次の町に着いたら旅に必要な生活品の買い出しをすべてやってもらうからな…!」


お預けを食らったような表情のランバートは、「わ、分かったよ…!苦しい…!」と呻き声を上げている。

私は、そんな彼らに向かって尋ねた。


「そういえば…、次の町はどういうところなの?」


私の言葉に、「あ、ノアちゃん。おはよー…!」と笑ったランバートは、寝癖がついた髪の毛をくしゃりと搔き上げながら答える。


「今から向かう町にはエーテルの仲間がいてね。再会ついでに任務の進行状況を聞こうと思ってるんだ。」