「…え?」
私は、小さく目を見開く。
ランバートは、ふっ、と微笑んで言葉を続けた。
「ノアちゃんの魔力は“奪われた”だけだ。それを取り返せれば、ノアちゃんは魔法使いに戻れるかもしれない。」
(!!)
「ほ、本当…?」
ランバートは、にこりと笑って頷いた。
思いがけない展開に言葉を失う。
(“魔法使いに戻れる”…?この私の体に、魔力が宿るってこと…?!)
希望の光が差し込み始めたのを感じた瞬間ランバートは私から、すっ、と離れて背を向けた。
そして、一歩一歩 歩きながら口を開く。
「それ以外にも、たくさんの幸せな出会いがあるだろうね。ノアちゃんの好きな本が見つかるかもしれないし、もしかしたら将来のお婿さんが見つかるかもしれない。…“次の町”に行けば。」
「…!」
(“次の町”…?)
その時、ランバートがくるり、とこちらへ振り返った。
確かな光を宿した翡翠の瞳が私を映す。
「今夜の宿代は今晩だけじゃなくて、この先一生かけて支払うからさ。…来るでしょ?ノアちゃん。俺たちと一緒に。」
「え…!」



