大剣のエーテル


頭上から優しくかけられた言葉に、はっ、とする。


「…どうして、ランバートが謝るの…?」


「…ノアちゃんに、悲しい思いをさせちゃったから。」


ランバートは、私をあやすように頭を撫でて言葉を続けた。


「町長さんの家には、俺1人で話をつけにくればよかった。そうしていればノアちゃんは今、泣かなくて済んだでしょ…?」


私は、ふるふると頭を振る。


「ううん…、いいの。これで、いいの。辛くて泣いているんじゃない。本当のことを知れてよかった。…隣にいてくれてありがとう、ランバート。」


きっと、ランバートがいなかったら私は途中で逃げ出していた。

いつものように町長に言いくるめられ、大した反撃もできずに泣き寝入りをしていたはずだ。

彼が手を繋いでぐれたから。

彼が守ってくれたから。

私は、折れないですべてを聞けたんだ。


…すっ。


ランバートが、私の肩に手を置いた。

私から少し離れた彼を見上げると、綺麗な翡翠の瞳と視線が交わる。

彼は、薄い唇をゆっくり開いて囁いた。


「大丈夫だよノアちゃん。これからの君の人生には、幸せなことしか起こらないから。」