ぞくり…!
低い声に、背筋が震えた。
ランバートも無言で彼を見つめている。
目の前で別人のようになった町長は、静かに口を開いて続けた。
「…この際だ、教えてやろう。16年前にこの町で起こった真実をな。」
(…“真実”…?)
ダーナさんは、顔を伏せて語り始める。
「ちょうどノアが生まれた日、この町に怪我人を連れた1人の男がやって来たんだよ。そいつらは2人とも“一派”と呼ばれる反逆者でな。王に刃向かって返り討ちにあったと言っていた。」
“一派”
風の噂で聞いたことがある。
王に不満を持ち政権を奪おうとする犯罪集団で、禁忌を犯すことも厭わずに他人の魔力を奪って力を得ていると。
“一派”と聞いた途端、ランバートの表情が陰った。
ダーナさんはすらすらと話を続ける。
「一派は町長である私に、怪我人の女を助けるために魔力を奪わせろと言ってきた。…もちろん、魔力を取られたくはなかった。人間としての価値を奪われることになると分かっていたからだ。…だが、一派に逆らったら町も私もどうなるかわからない。」
私は、その続きを聞くことが怖くなった。
嫌な胸騒ぎを感じる。
ひたり、ひたりと、得体の知れないものが一歩ずつ近づいてきているようだ。



