「あぁ。ノアはクリスマスは1日中、エーテルの宿舎で本を読むと言っていた。」


ルタとロルフの脳裏に、国立の図書館で本を借りだめしていたノアの姿がよぎる。


「…そういや、本の束を抱えてたね。」


「付き合って初めてのクリスマスだろ?それでいいのかよ。」


ルタとロルフが口々にそう言うと、イヴァンは「そこが問題なんだ。」と彼らを見つめた。


「ランバートは普段好き勝手やっているが、ああ見えて実は仕事ばかりしている。…まぁ、それが悪いとは言わないが…少しはノアとゆっくり過ごす時間を作ってやってもいいと思わないか?」


当事者たちが不在の応接室に、イヴァンの声が響いた。

「たまにはいい事言うじゃねーか、オッサン。」と笑ったロルフがイヴァンに殴られたところで、ルタが腕組みをしながら口を開く。


「…って言っても、具体的にはどうするの?俺たちに出来ることなんてあるわけ?」


「おおいにある。」


そう答えたイヴァンは、琥珀色の瞳を細めて言い放った。


「今から、俺たちはそれぞれ適材適所でランバートの仕事を肩代わりして、あいつのクリスマスの予定を空けてやるんだ。」


「「!」」