身構えた割に何事もなく声がかかる。
ぱちり、と目を開けると、ランバートはにこにこしたままこちらを見ていた。
私は、つい、ぽろりと口が滑る。
「ちゅーじゃないの…っ?」
「えっ!!」
はっ!と目を見開くランバート。
それと同時に爆弾発言をしたことに気がつく私。
慌てて訂正しようとすると、ランバートが軽く私の唇を奪った。
ちゅっ!
一瞬掠めるようなキスに再び思考が止まると、ランバートは微かに頬を染めて呟いた。
「えーっと……、違う違う。“指”、見て?」
「“指”?」
ふと、彼と繋がっていた左手に視線を落とす。
「…!」
すると、私の薬指に光っていたのは、小さな魔法石がついた指輪だった。
(わ、私ってば、変態みたいなこと考えてて全然気がつかなかった…っ!!)
きらめく指輪に見惚れていると、ランバートが少し照れたように私に告げる。
「それ、パーティの時に甲板で言ってた指輪。…ノアちゃん、覚えてるかな?」
その瞬間。
私の脳裏に祝賀パーティーでの記憶がよぎる。
“この指輪、今すぐ投げ捨てていい?”
“もしかして、それって“やきもち”…?”
“そーだよ…っ!ノアちゃんに指輪を贈るのは、俺の役目!”
豪華客船の甲板で、いつも余裕のあるランバートが、初めて子どもみたいに嫉妬して叫んだあの夜。
「お、覚えてるよ…!全部…!」
私がぎこちなく答えると、ランバートは少し掠れた声で呟いた。
「…貰ってくれる?」
(!)
「もちろんだよ…!嬉しい…!」



