「ランバート。」
名前を呼ぶと、彼はまっすぐ私の方を見た。
向かい合い視線が交わる。
「…私、ランバートのおかげで魔法使いに戻れた。今までつらいことばっかりだったけど、あなたが町から連れ出してくれたおかげで私の人生は変わったの。」
ランバートは、何も言わずに私の言葉を聞いている。
「本当にありがとう。私、あなたの手を取ってよかった。」
「…!」
“大丈夫だよノアちゃん。これからの君の人生には、幸せなことしか起こらないから。”
あの夜。
ランバートはそう言った。
“…来るでしょ?ノアちゃん。俺たちと一緒に。”
“…いいの…?”
“うん。…あと5秒の間に手を取らないと時間切れだけど。”
“えっ!!”
人の体温がこんなにも温かいということを、重ねたランバートの手が教えてくれた。
私は生まれてきてよかったんだって、初めて思えた。
ランバート。
あなたは私にとって、かけがえのない大切な人。
いつも自由で楽観的で、何を考えているかわからなくて。
子犬みたいで、たまにえっちで大人っぽくて。
私を翻弄する
優しくて、ずるくて
───とびきりカッコいい
「ランバート、あのね…!」
彼を見上げて、精一杯気持ちを言葉に乗せる。
「私は、ずっと、貴方のことが……」
…ひた
その時。
彼の長い指が、私の唇を塞いだ。
ぴくり、として言葉を止めると、ランバートは小さく囁く。
「…だめ。」
(…!)
「その先は、俺が言う。」



