大剣のエーテル


ランバートの整った顔立ちが月明かりに照らされている。

私だけがドキドキしているようでちょっと悔しい。

すると、その時。

ランバートがふっ、と照れたように笑って呟いた。


「…でも、待ちきれなくなっちゃって俺の方から抱きついちゃった。はー、作戦失敗だよ。」


「ふふ…っ、また私の勝ちだね」


私の言葉に優しげな笑みを浮かべたランバートは、すっ、と私から離れた。

そして、口を開く。


「…ドレス、似合ってるね。可愛い。」


「…!ありがとう…!サイズはぴったりだったよ。」


しかし、ランバートは、はっ!と何かに気がついた様子で一瞬肩を震わせた。

そして、ふいに視線を落として眉を寄せる。


(?)


「どうしたの?ランバート。」


私がそう尋ねると、彼は少しの沈黙の後、ぼそり、と答えた。


「…“それ”、いつまでしてるの?」


「?」


ランバートの視線の先に目をやると、そこには私の指にきらめく指輪があった。


「フォーゼルの指輪のこと?」


「…ん。」


こくり、と頷いたランバートに、私は指輪を手にとって月にかざす。


「もう魔力は完全に私の体に宿ったんだけど、なんだか不安で。」


「…へー……」


魔力が取られることはもうないし、この指輪をつけていても特に意味はないって分かってはいるけど、未だに自分に魔力が戻ったことが信じられない。

だから、安心感が欲しくてなんとなく指にはめてしまう。


「そういえば、フォーゼルはあの後どうなったの?」


「あぁ。カイと一緒に王の管理下にある更生施設に入ったよ。彼らは未成年だし、周りの大人たちに振り回された被害者とも言えるからね。レガリアに頼み込んで、牢獄に入れるのは止めてもらった。」