ぽろり、と溢れた本音に、ランバートが翡翠の瞳を丸くさせた。
ふっ、と笑った彼は、優しく私の髪を撫でながら答える。
「このパーティでノアちゃんに会う時のために色々準備することがあったんだよ。昼間に見かけたときに、すぐ声をかけようかと思ったんだけど…」
(?)
私を愛おしげに見つめるランバートは、色っぽい笑みを浮かべて囁いた。
「俺のことをきょろきょろして探してるノアちゃんが可愛くてさ。もうちょっと姿を隠してようかなって思って。」
「!」
確信犯の笑みに目を細める私。
「…いじわる。」
「あはは、ごめんね。でも言ったでしょ?“俺が帰ってきたら、覚悟しておいてね”って。」
(!)
そういえば、ルタの故郷の教会でランバートと別れる時、彼は確かに言っていた。
“ちょっといじわるするくらいで許してあげるからさ。”
(…これがキスマークの仕返し…?)
すると、ランバートは私をまっすぐ見つめて続けた。
「…あと、たくさん焦らした方がいいかなって思って。」
「え?」
彼は、色香をまとった仕草で私の頰を撫でる。
「ノアちゃんが、俺に会いたくて会いたくてたまんなくなったら…また俺に抱きついてきてくれるかなって期待してた。」
「っ…!」
(“また”…?)
その時、私の脳裏にレガリア本部の街での記憶が蘇る。
宿屋で、爆弾魔を1人で追ったランバートを待っていた時、私は心配で心配で仕方がなかった。
ランバートが帰ってきた瞬間、彼に抱きついて離れたくなかった。
急に過去の恥ずかしい行動を掘り起こされ、私はつい顔が赤くなる。
(…ほんとに、この人はいじわる…)



