大剣のエーテル


ぱっ!とルタの方を見ると、彼は「ふーん」と、目を細めた。

側から見れば、そんなに食い意地が張っているオーラが出ていたのだろうか。


「私は料理を待ちわびてそわそわしてるんじゃなくて、ランバートを…」


ルタに反論しようとしたその時。

遠くのテーブルから1人の男性の声が聞こえた。


「おぉ、エーテルの団長様じゃないか!噂は聞いているよ。まさか本人と会えるとはなあ!」


「!!」


(“エーテルの団長様”って、ランバートのことだよね…!)


ばっ!と声のした方を見る。

確かに“エーテルの団長”というワードが聞こえた。

今の私は、ランバートに関することへの聴覚は犬並みに敏感である。

その時。

多くのパーティ客の中に白い軍服がちらりと見えた。


(!)


私は、とっさに駆け出す。


「ルタ!私の分の料理、取っておいて!」


「はっ?ノア?!」


ルタの動揺した声に返事する間も無く、私は人混みを縫うように走った。

辺りを見回しながら進むが、彼の姿を見失う。


(っ、どこ…?確かに、いたはずなのに…!)


と、その時。

私の視界に綺麗な女性に囲まれている赤髪の青年が映った。


「!ロルフ!!」


「ん?」


襟元を緩め、薔薇色の瞳に色香を宿した彼が、くるりとこちらを向く。

モデル並みの美人に言い寄られている様子の彼は、シャンパンを片手に彼女たちを口説いていたようだ。

私は早口でロルフに尋ねる。


「ねぇ、ランバートを見なかった?」


「ランバート?ここには来てねぇけど…」


ロルフは周りにいた女性たちに声をかける。


「なぁ、ウチの団長知らねぇか?」


すると、メイクをした綺麗な女性たちが私に向かって「あぁ!」と顔を明るくさせた。


「団長様なら、さっき廊下ですれ違ったわ。」


「広間から出て行ったみたいよ。」


(!)


「ありがとうございます!ロルフもありがとう!」


「おぅ!会えるといいな。」