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「さぁ、皆さま!今宵は存分に楽しんでくださいませ…!まもなくお料理が運ばれてまいります!」
満月が空に浮かぶ夜。
港を出た豪華客船が、夜に吸い込まれそうな深い青色の海を進む。
ざわざわと穏やかな波を立てる船に乗る人々は、みな綺麗なドレスやかっちりとしたスーツを着こなして談笑していた。
(…港を出港したってことは、ランバートはもう船の中にいるはずだよね?)
そわそわして辺りを見回す。
しかし、家2軒は建つんじゃないかというレベルの大きさの豪華客船には、ざっと見ただけでも100人近くの人がいるようだ。
(どこにいるのか全然わかんないよ…!)
もしかしたらこのホールではないどこかで、また仕事関係の人に捕まっているのだろうか?
スーツの人がグラスを持つ姿を目で追っていく。
エーテルのみんなが正装って事は、ランバートも白い軍服を着ているはずだ。
(…ランバート、絶対かっこいいだろうなあ…。早く会いたい…)
すると、隣からルタの声が耳に届いた。
「ノア。焦らなくても料理はなくならないから落ち着きなよ。」
「っ!ち、違うよっ!」



