「おっ、そーなのか?んじゃ、運転頼むぜ〜!」
ガチャ、とドアを開け、後部座席に乗り込んだロルフ。
彼は、ふと私の顔を覗き込んで首を傾げた。
「?どうした、ノア?俺が隣じゃ不満か?」
「!違う違う!」
私は、ぶんぶんと首を横に振って呟いた。
「ただ、1ヶ月もランバートに会えてないし。…なんだか、ちょっと寂しくて。」
離島での一件後。
ランバートとイヴァンさんとともにハロルドさんの運転するパトカーで教会に帰ってから、ランバートは今までの疲れが一気に出たように熱で寝込んでしまった。
そして、ババ様に治療してもらうためランバートだけを教会に残し、私たちだけ、先にエーテルの宿舎があるこの城下町に戻ってきたのである。
私の言葉に、運転席に座るルタが呟いた。
「んー。まぁ、ランバートがこっちに戻ってきてからも、アイツはなんだかんだ王やレガリアに呼び出されて忙しかったもんね。」
(それだけならいいけど、“一晩中猫探しをしてた”とか、“城の書庫で無くした自分の本が見つからない”とかで、顔を見るどころか、声すら聞いてないんだよ?)
思わずまつ毛を伏せると、助手席に乗り込んだイヴァンさんがナビを設定しながら私に言った。
「ま、パーティー会場に行けば自然と向こうから犬のように全速力で駆け寄ってくるだろ。ランバートもノアに会いたくてしょうがないだろうからな。」
「え…?」



