その時。

薔薇色の瞳を細めたロルフがぼそりと呟いた。


「確かに、腹ん中まで真っ黒のオッサンが白い軍服着てんのも見慣れねぇな。」


「ふざけたこと言ってっと撃ち抜くぞ、ボケ…!」


そんな2人に冷めた視線を送るルタも、今日は軍服姿だ。

白い軍服とはいえ、白衣とはやはり違った印象を受ける。

「ノアも、いつにも増して可愛いぜ。」と色気のある薔薇色の瞳をこちらに向けて言ったロルフに、ルタがため息をついた。


「よく恥ずかしげもなくそんな口説き文句がぽんぽんと口に出来るね。」


「何だよ、相変わらずだなー。“ドレス似合ってる”の一言くらいねぇのかよ。」


「ランバートが見立てたんだから似合わないわけでしょ。…別に、いつもよりちょっとだけ女の子っぽいなあ、くらいは思ってるよ。」


「ふぅん?」とニヤニヤするロルフを睨みつけたルタの言葉に、私は身につけているドレスを見る。

白地に薄いピンクのラメが入ったドレスは、ランバートが私のために宿舎へ送ってきてくれたものだ。

私は、この場にいないランバートの姿を頭に思い浮かべながらイヴァンさんに尋ねる。


「あの、ランバートは…?」


すると、イヴァンさんは「あぁ。」と呟いて私に答えた。


「あいつなら、朝から城下町のレガリアと打ち合わせをしてるが、もうそろそろここに来るはずだ。パーティー会場までは一緒に車で移動する予定だからな。」