「さて…これでランバートさん達はこの離島から逃げ出せなくなりました。ここで戦って僕の幻夢石を砕いても、フォーゼルの瞬間移動魔法ですぐに新たな石が手に入ります。影たちだって、消えることはありません。…ここから消えていくのは、エーテルの先輩方の魔力だけです。」
風一つない荒れ地に、カイの声が響いた。
言葉もなく、ただ敗北感を味わっている様子のエーテル達。
ここには、希望なんてない。
もう、彼らに残された道は“歪んでしまったかつての仲間に殺される”ことだけなのだ。
くすくす、というカイの笑い声が耳に届く。
「…僕を、エーテルに呼び戻す気になりましたか?団長。」
何も言わないランバートは、翡翠の瞳の輝きをなくしてカイを見つめている。
(…これが、この戦いの終着点かよ…)
その時、カイが、ぼそり、と呟いた。
「…僕は、ランバートさんに認めてもらいたくてこれまで一派に堕ちて人を殺めてきました。…だけど、僕が求めていたのは、違うものだったのかもしれません。」
黒い笑みを浮かべた青年の声が荒れ地に響いた。
「僕はずっと、ランバートさんの“絶望に立ち尽くしたかませ犬”のようなその顔が見たかったんですよ。」



