大剣のエーテル


「…っ……」


ランバートが、微かに体の力を抜くのが見えた。

その目の前に対峙するカイが、憧れの団長に向かって、不敵な笑みを浮かべる。


「…ランバートさん、どうです?“罠にまんまとハマった”気分は。実はこの作戦、僕が考えついたものなんですよ。」


エーテルを欺く策略を考えついたのは、皮肉にもかつてエーテルに団員として存名していた青年。

今のカイにとっては、心底慕っていた団長も、その右腕も、医者も、戦闘狂も。

みんな“ランバートに認めてもらう為に利用する”ただの“操り人形”に過ぎないんだ。

そのマリオネットを操る傀儡師(くぐつし)は、魔法陣を砕かれた“元英雄”。

2年前に一派の幹部の総攻撃から王を守った張本人だ。


「僕はずっと、ランバートさんの“先の読めない奇策”を見てきたんです。…敵を騙し、うまく動かして、自分の裁けるテリトリーに追い込む…。どうですか?僕、成長しましたよね!」


屈託のない笑みに、エーテルの団員達はぞくり、と震える。

そこに、ピピピピ…!と、小さな電子音が響いた。

通信機を手にしたイヴァンが、そこから聞こえてくる切迫した声に目を見開く。


『ま、まずいっス!ぐったりしてた間に、後部座席に影共が乗ってたっス!!エンジンが壊されて、使い物にならないっス!!!』


(…ばーか。まんまと引っかかりやがって。レガリアの隊員も大したことないな。)