顔を歪めるフォーゼルを見下ろすルタ。
俺はライフルにありったけの魔力を詰め込んだ。
バチバチバチ…ッ!!
静電気なんてもんじゃない雷の火花が辺りで弾ける。
ランバートの剣を受け止めるカイが切迫した表情を浮かべた瞬間。
凛とした団長の声が響き渡った。
「ブチ抜け!」
(!)
パァン!!
ライフルから放たれた弾丸が、直線の軌道で飛んでいく。
雷をまとうようにして光る弾はまるで流れ星のようだ。
カッ!!
閃光弾を投げ込まれたかのような眩しさが島を包む。
そして、雷弾が洋館のど真ん中を撃ち抜いた瞬間。
屋敷全体に雷が落ちた。
バキバキバキッ!!!
木造の洋館が音を立てて崩壊していく。
窓は粉々に割れ、土埃が地震の波のように広がった。
ブワッ!!!
衝撃波で荒れ地に蠢いていた影たちが消しとばされていく。
(…くっ……!)
ゴォォォ!、という風の音を目を閉じて感じる。
やがて、辺りはしぃん、と静まり返り、無音の世界になった。
(…やったか…?)
低い体勢で突風を凌いだ俺は、ゆっくりと目を開く。
すると、そこにあったのは信じられない光景だった。
「…うそ、だろ…?」
ぽつり、と放心状態のルタの声が聞こえた。
「…幻夢石が、ない…だと?」
つい、俺がそう口にした瞬間。
ランバートの剣を弾いたカイが、ニヤリ、と笑みを浮かべた。
《イヴァンside*終》