大剣のエーテル


(…ランバートをフォローする余裕はねぇみたいだな…)


体の不調をおして戦場に立つ団長を“少しでも支えなくては”と思ってはいたが、どうやらそう甘くはないらしい。

俺とルタに“ランバートを庇わせないようにすること”が、フォーゼルの企みであるようだ。


(ちっ…!干支ひとまわりも年下のガキに見透かされてやがる。)


ズサササ…!と砂埃をあげると、隣に駆け寄って来たルタがキッ!と俺を睨んだ。


「自分の敵に集中しろ、ばか!俺は仲間の治療をするのは好きじゃ無いんだよ!」


「悪りぃ、こっから本気出す。」


一気に魔力を放出し、琥珀色の瞳に光を宿す。


パァァァッ!!


荒れ地に広がる俺の魔法陣が、影たちの足を麻痺させていく。

ルタはフォーゼルに向かって腕を突き出し、吹雪の渦へと奴を誘った。


ゴォォォッ!!


目の前に吹き荒れる真っ白な粉雪。

寒さを感じる余裕もなく、俺は両手に握る拳銃へ意識を集中させた。

その時、ランバートの声が確かに耳に届く。


「イヴァン!洋館ごとぶっ壊せ!幻夢石はあの中だ!石を砕いた瞬間、俺たちは勝つ!」


魔力を高めた瞬間、二丁拳銃がライフルへと変わる。


…チャキ…!


もちろん、狙うはどデカイ標的。


「っ!させるか!」


フォーゼルが吹雪の中から瑠璃色の瞳を輝かせた。

グワッ!と襲いかかる彼の影。

その動きを封じたのはルタの氷。

パキパキと実体を持つフォーゼルの影ごと凍らせた碧の魔力が、空をも凍らせる勢いで広がった。


「…懲りないね、じっとしてなよ。体ごと動けなくしてあげようか。」


「っくそ…っ!」