大剣のエーテル


《ランバートside》


ふっ…!


急に、彼女の体から力が抜けた。

俺に寄りかかる重さに一瞬戸惑う。


(…んー、やりすぎたか…?)


「ノアちゃん、降参?」


そっ、と彼女に声をかけた

次の瞬間だった。


ばっ!


急に、彼女が俺の方を向いた。

掴んでいた腕をとっさに放す。


(?、??)


真っ直ぐに俺を見上げる彼女のオレンジの瞳に不意打ちで胸が鳴ったその時。

彼女は俺のシャツをきゅっ、と掴んで引き寄せた。

首筋に、彼女の呼吸がかかる。


「っん…?!」


柔らかな唇の感触がしたと同時に、ちくりとした痛みを首に感じた。

突然のことに、不覚にも声が漏れる。

俺から少し離れた彼女の顔は部屋が薄暗くても分かるほど真っ赤で、俺をじっ、と見上げたままだった。


「き、キスマークだって、立派な“傷”だよ…っ!」


「…!」


くらり、とした。


(…反、則だろ……)


熱いものが込み上げてきて、頭で考える余裕もなく、華奢な彼女を抱き寄せる。

目を見開く彼女の声など聞く間も無く、俺は奪うように彼女の唇を塞いだ。

月明かりが、初めて重なる2人の影を映し出す。


「ん、…んん…っ!」


彼女が深くなるキスの合間に声を漏らした。

だけど、止めてやる余裕なんかない。


ガタ…ッ!!


腰あたりまでの高さのサイドテーブルに、もつれ合った体が当たる。

ぶつけた痛みなど、どうでもよかった。

ただ、今まで押し込めてきた想いや熱が全部溢れて止まらなかった。


…ちゅ…、ちゅ…


抑えられない欲のままに、彼女の唇を甘く噛んで、柔らかな舌を絡める。

彼女から聞こえる声に頭がおかしくなりそうだ。


「っ、は…っ…」


その時、がくん!と彼女が膝から崩れ落ちた。


「っと…!」


とっさに抱きとめたが、彼女はもう限界らしい。

はっ、と我に返った。

何が起こったのか把握しきれず、頭のキャパをとっくにオーバーしている様子の彼女にそっと囁く。


「こんなキスで立てなくなっちゃうような子を、戦場に行かせるわけにはいきません。」


「…っ…!」