大剣のエーテル


「!!」


ランバートが、初めて表情を崩した。

驚きを隠せない様子の彼に、私は続ける。


「私、最後に触れた人の魔法をコピーする魔法が使えるようになったの。まだ慣れてない所もあるけど、ランバートの魔法だってちゃんと使えるわ。」


私は、幼稚なことを言っているのは自分でも分かっていた。

ちょっと魔法を使えるようになったからと言って、エーテルの団長の代わりが自分に務まるとは思えない。

きっと、ランバートだってそう思っているはずだ。

だけど、せめて彼の出発を少しでも送らせることが出来たら。

カイさんが近くにいる今が出撃のチャンスだということも分かる。

でも、そんな冷静な分析を吹き飛ばすほど、私は彼に行って欲しくなかった。


(ランバートはこの提案に頷いたりしない。だけど、私が行かないでと言えば、優しいランバートは私の言うことを無視できない。)


彼の甘さを利用している私はずるい。

でも、少しでもいいから、このままここにいてほしい。


(好きなの、好きなの…!)


私の彼への想いは、“団長”であるランバートには届かないけど。

わがままだって分かっているけど。

このまま、抱き合って触れている部分で、あなたの体温を感じていたい。


「…ノアちゃん。」


ランバートが、ぽつり、と私の名前を呼んだ。

きっと、“ごめんね”、と言うのだろう。

彼が私の元を去るときは、彼はいつもその言葉を口にしてきた。

ロルフの支局に行くときも、トロッコから降りるときも、カイさんを追っていくときも…

私の告白は聞けないと、釘を刺されたときも。

ぐっ、と身構えて彼の言葉を待っていたその時。

ランバートから告げられた言葉は、予想をはるかに超えた一言だった。


「…分かった。ノアちゃんが代わりに一派のアジトに行ってくれる間、俺は大人しくここで待ってるよ。」


「えっ!!」