と、その時、彼がふと気が付いたように足元に視線を落とした。
「…あー、どこまで読んだか忘れちゃった。」
小さく呟き、彼は本を手に取った。
私は、はっ、として彼を見る。
そして、胸にワクワクとした思いを抱えながら彼に伝えた。
「たぶん、“ドワーフの鉱脈”の挿絵があるページだと思うわ。主人公が、宝石を探してドワーフの長を訪ねるシーン。」
「え?」
彼は驚いたように私を見たが、やがてぱらぱらとページをめくり、ぱぁっ、と顔を明るくさせた。
「あぁ、本当だ。開きグセがついてる。…でも、どうしてそれを?」
不思議そうに尋ねた彼に、私は答える。
「ごめんなさい。さっき、少し読んじゃったの。開いてあるページに見覚えがあったから…」
すると、彼は私の言葉に目を輝かせた。
「君、この本、知ってるの?」
「うん。同じ本が私の家にもあるの。幼い頃から何度も読んだわ。面白いよね、ドワーフの章なんて特に…!」



