その時、急に辺りを流れる空気が変わった。
どくん、と、カイさんが手にする大剣が脈打つ。
…ボゥッ!
彼の胸元に見える幻夢石が鈍く光った。
グニャ…!
その瞬間。
カイさんの持っていた大剣が大きく形を変える。
不安定な彼の心情に共鳴するように、幻夢石は輝きを増していく。
闇の魔力がブワッ!と立ち込めた。
一派のフォーゼルでさえ、カイさんの悪の気に当てられて顔を歪ませている。
カイさんの低い声が耳に届く。
「…僕は、強くなったんだ。ランバートさんに魔法陣を砕かれる前よりも…!」
(!)
と、次の瞬間だった。
ドッ!!
カイさんが軽く地面を蹴ったその時。
足が着いた地面が大きく割れ、まばたきの一瞬でカイさんが目の前に現れる。
その手にあるのは、“死神の鎌”。
大きく振りかざされた刃が、ギラリと光る。
「ノアちゃん!!」
ガキンッ!!
ランバートの大剣が、カイさんの鎌を受け止めた。
ギリギリと音を立てる刃は、力が拮抗していることを告げている。
「…さすがランバートさん。あの町の人たちは、この攻撃でさえ避けきれませんでしたよ。」
(!人斬り事件のことを言っているの…?)
ルタの瞳が、怒りに震えるのが見えた。
イヴァンさんとロルフも、険しい顔でカイさんを見つめている。
ザッ!!
鎌を弾き飛ばしたランバートは、素早くカイさんの背後に回り、重い蹴りを入れた。
ドッ!!
鈍い音とともに、カイさんの華奢な体が森の中へと飛んでいく。
勢いよく木の幹に打ち付けられたカイさんは、「…ぐっ…!」と小さく呻いて顔を歪めた。
ランバートは、カイさんの胸元に浮かぶ幻夢石の魔法陣に向かって素早く片手を突き出した。
そこに広がるのは翡翠の魔法陣。
(あれは、相手の魔法陣を砕くランバートの“特殊魔法”…!)
と、その時。
カイさんが低い声で呟いた。
「ランバートさんは“2度”、僕を殺すんですね。」
「!!」



