ドン!と勢いよく彼を突き飛ばした瞬間、彼の体が太い木の幹に打ち付けられた。
ばさばさばさ…!っ、と大木に止まっていた鳥達が一斉に飛び立つ。
(…い、意外と強く突き飛ばしちゃったみたい…)
大ダメージにより強制的に夢から引き戻された様子の青年は、苦痛に顔を歪めた後、ゆっくりとその瞳を開いた。
綺麗な翡翠の瞳が、ようやくはっきりと私を映す。
「…あれ…?」
ぱちぱち、とまばたきをした彼は、きょとん、と私を見つめた。
その表情は、言葉の通り、“きょとん”である。
彼は軽く目をこすり、再び私を凝視した。
そして、すべてを理解したようにぽつり、と呟く。
「…どおりで、猫にしては抱き心地がいいと思った…」
「だ…っ…?!」
意味深な爆弾発言に、彼に撫でられた感触が蘇る。
全身が熱くなった瞬間、青年は柔らかく苦笑した。
「ごめんね。」
そう口にした彼からは、ほんわかとしたオーラが出ているように思える。
和むような、癒されるようなその声に、私は驚きも緊張も消えていった。
(…この人…、やっぱり町の人じゃない)
彼の端正な顔立ちや、翡翠の瞳は今まで町で見かけたことはない。
人が踏み入れない森の奥で、のんきにお昼寝をしていたこの青年は、一体、何者なんだろう。



