大剣のエーテル


「…ぅ…んー…」


青年が気だるげに呼吸をした。ゆっくりと、長いまつ毛が持ち上がる。

開かれた瞳は、宝石のように透き通った“翡翠色”。


(…!)


思わず息を呑むと、焦点のあっていない寝ぼけた瞳がゆっくりと私をとらえた。

すると、形の整った唇から、わずかに掠れた声が漏れる。


「…こーら…、その本にいたずらしちゃだめって言ったろー…?」


(…え…?)


優しくも甘いトーンに、どきり、とした瞬間。

ぐいっ、と本を持つ手を掴まれた。

ばさり、と本が手から滑り落ちたその時、彼は流れるように腕を伸ばして、私の体を抱き包んだ。

優しくも、ぐっ、と引き寄せられ、呆気なく彼の胸に倒れこんだその時、優しく髪の毛を撫でられ、彼の気だるげな声が耳をくすぐる。


「…ん…、もーちょい、一緒に寝よー…」


「っ、ちょ…っ…!」


細長くも角張った青年の手が、ゆるゆると背中を撫でた。

ぞくり、とした甘い痺れが体にはしる。


「っ、す、ストップ!ストップ!」


「…“にゃあさん”、暴れんなよ…、寒いだろー……」


彼の言葉に、嫌な予感がした。


(“にゃあさん”…?ま、まさかこの人、私とさっきの猫を間違えてるの…?!)


その時。

温もりを求めて、彼が私の肩に顔を埋めた。

首筋に触れるミルクティー色の髪がくすぐったい。


(!…もう、限界…!)


「っ、私は、“にゃあさん”じゃありませんっ!!」


「ほがっ!!」