“これで見逃してくれ”感がひしひしと伝わってくる。
私は彼らの怒りがおさまるのかひやひやしていたが、保護者組は案外まんざらでもない様子で“報酬”を受け取っている。
(…あれ?もしかして本当に欲しかったやつなのかな?)
若干、瞳に輝きが戻った大人達を見つめていると、ロルフが話題を変えるようにランバートに尋ねた。
「そういや、ランバートはどうやってここまで来たんだよ?交通機関はどこも役立たずだろ?」
(!たしかに…)
すると、ランバートはにこり、と笑って答えた。
「ハロルドに頼んでパトカーで送ってもらったんだよ。レガリアのパトカーは空飛べるし、魔法でコーティングしてあるおかげで天候に左右されずに移動出来るからさ。」
それを聞いたイヴァンさんが、ギン!とランバートを睨む。
「俺たちに黙って、元々その方法で来るつもりだったんだな…?パトカーをタクシー代わりにすんな!」
いつもの怒号がロビーに響いた。
イヴァンさんは、はぁ、と息を吐いて、琥珀の瞳を細めながら続ける。
「…次、同じ手を使ったら容赦なく撃ち抜くからな…」
「冗談に聞こえないところが怖いね」
なんとか場がおさまり、私は、ほっ、と胸をなでおろした。
苦笑を浮かべるランバートに、ロルフは「俺の分のお土産はねぇのかよ?」と絡んでいる。
と、いつもの穏やかな空気が流れ出した、その時だった。
…キィ
宿屋の木の扉が音を立てた。
玄関へと視線を向けると、扉の隙間から、ひょっこりと小さな頭がのぞいている。
どうやら、隠れながらこちらの様子を伺っているようだ。
(…?子ども…?)



