怒鳴る保護者組に、命があることを実感した私は、ほっ、と体の力が抜ける。

その時、ルタが不機嫌そうに呟く。


「まさか…俺が進路を作るわけ…?」


(…!)


確かに、彼の言った通り、海の上にもともとレールがあるわけじゃない。

ルタが魔法で海を凍らせるしか道はないようだ。

そういえば、ルタが影に攻撃しようとした時
ランバートも言っていた。


“だめ。ルタは、魔力を温存してて。”


(あれは、ルタの魔力が後々必要になることを知っていたからだったんだ…。)


「…まさか、北の土地に着くまで俺が氷のレールを作り続けるの?」


「…そして、俺は北の土地に着くまで発電を続けろと?」


保護者組が死んだ瞳で呟いた言葉に、「ま、団長命令だからな。」とロルフがさらり、と返す。

イヴァンさんが、ドスのきいた声で私に言った。


「ノア。“奴”の残した地図を見ろ。ここから北の土地まで何キロだ?」


「え?」


私は、素早くランバートが持って離さなかった地図に目をやる。

そして、絶句した。


「…えっと…50キロかな…」


「「あいつ、次会ったら殺す…!」」


カァ、カァ、とカモメが空を飛び

保護者組の殺気をまとった声が海上に響き渡ったのであった。