ランバートは、ふっ、と顔を伏せる。
その眼光は、真っ直ぐに敵を捉えていた。
ぞく…っ!
殺気をまとったその瞳に、その場にいた全員が息を呑む。
「…大丈夫だから、余計な心配するな。…俺がトロッコから降りたら、すぐに離れろ。情けはいらない。俺を置いていけ。」
(…!)
団長の口調の時は、誰も反論出来ない。
そんな気も起こさせないほど、ランバートの背中は大きく見えた。
ランバートは、小さく続ける。
「後は頼んだぞ。」
(…!)
私は、きゅっ!と彼の外套を掴んだ。
ランバートは、小さく私を振り返って、わずかに微笑む。
ぽん、と頭を撫でられ、彼は優しく名残惜しげに私の髪をとく。
「…ごめんね。」
(…?)
ランバートは意味深な言葉を言い残し、タン!とトロッコを蹴った。
するり、と私の手から彼が離れていく。
大剣を抜いたランバートが、サンタさんのように大荷物とともに宙を舞う。
レールの上に着地した彼の外套がばさり、となびいた。
「ランバート!!」
トロッコは、勢いを増しながらレールを滑る。
ゴォオォッ!!
団員たちは、皆、苦しそうに顔を歪めていた。
ロルフとルタが口々に呟く。
「…あのやろー…最後までカッコつけやがって…」
「…帰って来なかったら、タダじゃおかない…」
イヴァンさんは、無言で険しい顔をしていた。
(…ランバート…)
ぎゅっ。と、彼の外套を掴んでいた手のひらを握りしめた
その時だった。



