その時、辺りをきょろきょろと見回したロルフが、ランバートに声をかけた。
「なぁ、ランバート。どこまで歩くんだ?まさか、目的地まで徒歩で行くつもりじゃねぇだろうな?」
(!)
いくら最短ルートとはいえ、徒歩で行くなんて今日中に到着出来るわけない。
不安が押し寄せた時、ランバートが「そんなわけないでしょ。」と苦笑しながら目の前を指差した。
「俺たちは、“アレ”で北を目指すんだよ。」
「「「「??」」」」
一同がランバートの指し示す方向へ視線を向ける。
そこに見えたのは古びたレールと、木でできている“トロッコ”だった。
(これ…?)
私たちは、鉱山の奥へと続くレールの前で立ち止まり、じろじろとトロッコを見つめる。
ルタが目を細めて呟いた。
「…徒歩よりはいいけど…。コレ、小さくない?」
「んー。まぁ、ちょっと狭いけどみんな乗れるよ。」
にこやかにそう言い切ったランバートに、トロッコをいじっていたロルフが尋ねる。
「なぁ、これ“エンジン式”だぜ?すげーボロいけど、ちゃんと動くのかよ?」
その言葉にトロッコへと視線を移すと、ロルフの言った通り、トロッコの先端に操縦用のレバーと電気式のエンジンが付いている。
だが、それらは砂埃をかぶっていて、もう長い間使われていないようだ。
私は、ふと思い出してランバートに尋ねる。
「そういえば…採掘場での仕事って、ストップしているんでしょ?それなら、このトロッコを動かす電気は通ってないんじゃない?」
すると、その時。
ランバートは少しの迷いもなく微笑んだ。
「だーいじょうぶ!“電気”ならここにあるから。」
彼の翡翠の瞳に見つめられたのは、黒のスーツの彼だった。
「…あ…?」



