微かに目を見開いたランバートは、何かを察したように私を見つめた。
そして、まつ毛を伏せて小さく口を開く。
「…ロルフから、何か聞いた…?」
(…!)
見事に言い当てられ、私は肩を震わせた。
私の態度に全てを悟ったようなランバートは、困ったようにため息をついて呟く。
「…まったく。ロルフのやつ、何を吹き込んだんだか。余計な心配させるようなこと言ったんでしょ?」
その時、私は、ばっ!と彼を見上げた。
「“余計”、じゃないよ!」
「!」
翡翠の瞳が私をまっすぐにとらえた瞬間。
視線を逸らさずに彼に告げる。
「ランバートのことを何も知らないのは怖い。…いつも隣にいてくれる貴方のことを、私にも…心配させてよ…。」
ランバートが瞳を揺らした。
彼の整った顔が月明かりに照らされる。
「…そっ、か…」
ぎこちなく呟いた彼は、ふっ、と顔を伏せた。
その耳は、微かに赤く染まっている。
(…?)
私から顔を隠すように俯いた彼に戸惑っていると、ランバートは私の耳元で小さく囁いた。
「…わかった。」
「え…?」
「俺の全部を、ノアちゃんに教えてあげる。」
(…!)
すっ、と私から離れたランバートは、どこか覚悟を決めたような顔をしていた。
「…ここじゃあ落ち着かないね。ロビーで話そうか。」
私は、ランバートの言葉にこくん、と頷いた。
…コツ…
一歩踏み出した2人の足音が、夜が更けていく静かな廊下に響いたのだった。



