どくん…!
一気に、全身の体温が下がる。心臓が鈍く音を立てた。
(やっちゃった)
そう思った時には、既に遅かった。
イヴァンさんの琥珀の瞳は、今まで見たことがないほど動揺の色に満ちている。
(…馬鹿だ。浮かれて、口を滑らせるなんて。地雷を…踏んだ。)
「“魔力を持たない”、だって…?」
彼が小さく呟いた。
無意識のうちに出たようなその言葉にも、もう言い訳の一つも出来ない。
部屋が静寂に包まれた。イヴァンさんは黙り込んで、私をじっ、と見つめている。
(気味悪がられただろうな。何を考えているんだろう。…この家から、出て行くのかな。)
『出た、悪魔の子だ…!』
『何故、両親は魔法使いだったのに、あの子だけ人間なんだろうか。まさか、血が繋がっていないのか?』
『呪われているんだろうねぇ。こっちの魔力まで奪われちゃあ、たまったもんじゃないよ。』
頭の中にこだまするのは、日常浴びせられる言葉の数々だった。
ぐるぐる、ぐしゃぐしゃ、ガンガン、非情な言葉の羅列が私の喉を締め付ける。
苦しい。
痛い。
そんな感情が、久しぶりに湧き上がる。
心の奥で凍てついていたはずの悲しみが、イヴァンさんと出会ってしまったことで気付かぬ間に少し溶けていたらしい。
(浮かれた、罰だ。きっとこの人も、私の前から消えてしまう……)
ぎゅっ、と手のひらを握りしめた
その時だった。



