…ゴゥン。


鈍く重い音がした。

頭上を見上げると、分厚いガラスの壁がゆっくり下降してきている。


(嘘でしょ?!!)


「走れ!ガキども!!」


イヴァンさんが声を上げた。

素早く元来た方角に向かって駆け出す。

突然の展開に頭がついていかないが、ひたすら足を動かすしかない。


(少しでも気を抜いたら、閉じ込められる…っ!!)


上がる呼吸を整える間もなく走っていると、やがて、廊下の突き当たりに外へと繋がる扉が見えた。

あの扉を潜れば、すべて一件落着だ。

全員が必死に扉へ手を伸ばした

次の瞬間だった。


「わっ!」


後ろでランバートが声を上げた。

とっさに振り向くと、彼は絨毯の繋ぎ目に足を取られている。

スローモーションで倒れるランバートの体。


「っ!ボケ!」


「…嘘でしょ」


「そっから転がれ!」


イヴァンさん、ルタ、ロルフがそれぞれ叫ぶ。


「ランバート!」


彼の名前を呼んだその時。

希望へと繋がる扉を、ガラスの壁がドォン!と塞いだ。