私は、嫌な予感が的中して動揺する。


「私さっき、その人に声をかけられて…」


「何。あの女たらし、もうノアに手ぇ出したの。」


冷たく呟いたルタのあとに続いて、私はおずおずと口を開く。


「その人、レガリアの人と喧嘩して、逮捕されちゃったんだけど…」


「「「……は?」」」



エーテル達の声が重なった。

私の言葉の意味を理解しきれていないらしい。

イヴァンさんが、鋭い眼光を私に向けて尋ねる。


「…どういうことだ。“逮捕”という単語が聞こえたが、幻聴だよな?」


「いや。ロルフさん、レガリアの人を殴って連れて行かれちゃった、よ…」


ぎこちなく答えた次の瞬間。

イヴァンさんは頭痛が始まったように眉間に手を当てた。

ルタも一層不機嫌になった様子で唸る。


「何やってんの、あの不良警官…!聞いたことないよそんな馬鹿な話。」


その時、真剣な表情をしたランバートが腕組みをしながら呟いた。


「…確かにロルフは喧嘩っ早いけど、理由もなく相手を殴ったりするような奴じゃない。ノアちゃん。一体、何があったの?」


「…えっと…、レガリアの人がランバートの悪口を言ってたの。“2年前の事件”がどうとかって言ったら、ロルフさんが急に怒りだして…」


「!」