しぃん、と、部屋が静寂に包まれる。
ランバートは、何も言わずに私を見つめていた。
「……。」
長い沈黙の後、ランバートは、かすかに翡翠の瞳を震わせた。
ふわり、と顔を手で覆った彼は、どこか焦れったいように小さく呟く。
「…ほんと…油断ならないなぁ、この子は…。」
「…?」
ランバートの声は、小さくてよく聞こえなかった。
きょとん、として彼を見つめていると、ランバートは顔を隠したまま口を開く。
「…だめだよ、ノアちゃん。そんな勘違いさせるようなことを言っちゃ。」
「え?」
「無防備だね、って言ったの!そんなこと言われたら、近くに行きたくなっちゃうでしょ。…あー、だめ。」
椅子に、ギッ、と背を預けたランバートは、はぁ、と息を吐いた。
私は、眉を寄せて無意識に尋ねる。
「どうして私の近くに来ちゃダメなの?隣に座ればいいのに…」
するとその時。
ランバートが、ぴくり、と動きを止めた。
彼は、顔を覆っていた手をゆっくりと下ろす。
「…“どうして”…?」
ふっ、と顔を上げた彼と視線が交わった瞬間、どくん、と体が脈打った。
ランバートの整った顔立ちが月明かりに照らされる。
ぞくりとするほど色っぽい声が耳に届いた。
「…教えなきゃ、分かんないの…?」



