(え…っ!)
先程までとは違う、熱い感情が込み上げた。
ランバートは、私みたいに捨て猫のような存在を見たら、誰にでも優しく声をかけたり、面倒をみたりするのかと思っていた。
“ノアちゃんのこと、放っておけないからに決まってるでしょ。”
かつて言われたセリフが蘇る。
あれが特別な扱いだったのかと思うと、かっ、と体が熱くなった。
私は、胸の高鳴りを必死で抑えつつ、診療所での夜を迎えたのだった。
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ホー…ホー…
窓の外からフクロウの声が聞こえてくる。
今は午後10時。外はもう真っ暗で、空には月が煌々と輝いていた。
ルタの診療所に泊まることになった私は、入浴を終え、ベッドに腰掛けていた。
(…もう夜だけど、まだ眠くないな。そうだ、本でも読もうかな…)
机の上に置いたカバンから覗く本に手を伸ばす。
(…この本も、ランバートが貸してくれたんだよね。)
翡翠の瞳の彼が、ふと頭の中に思い浮かんだ。
と、その時。
…コンコン。
扉がノックされる音が部屋に響いた。
ぱっ、と顔を向けると、聞き慣れた優しげな声が耳に届く。
「…ノアちゃん、まだ起きてる?」



