大剣のエーテル


(え…っ!)


先程までとは違う、熱い感情が込み上げた。

ランバートは、私みたいに捨て猫のような存在を見たら、誰にでも優しく声をかけたり、面倒をみたりするのかと思っていた。


“ノアちゃんのこと、放っておけないからに決まってるでしょ。”


かつて言われたセリフが蘇る。

あれが特別な扱いだったのかと思うと、かっ、と体が熱くなった。

私は、胸の高鳴りを必死で抑えつつ、診療所での夜を迎えたのだった。


**


ホー…ホー…


窓の外からフクロウの声が聞こえてくる。

今は午後10時。外はもう真っ暗で、空には月が煌々と輝いていた。

ルタの診療所に泊まることになった私は、入浴を終え、ベッドに腰掛けていた。


(…もう夜だけど、まだ眠くないな。そうだ、本でも読もうかな…)


机の上に置いたカバンから覗く本に手を伸ばす。


(…この本も、ランバートが貸してくれたんだよね。)


翡翠の瞳の彼が、ふと頭の中に思い浮かんだ。

と、その時。


…コンコン。


扉がノックされる音が部屋に響いた。

ぱっ、と顔を向けると、聞き慣れた優しげな声が耳に届く。


「…ノアちゃん、まだ起きてる?」