大剣のエーテル


ランバートの声を聞いた瞬間、ふっ、と体の力が抜ける。


その時、廊下から足音が聞こえ、半壊の扉の向こうに黒いスーツの男性が現れた。

その手には、魔力で作られた拳銃型スタンガン。


「随分、派手にやらかしたみたいだな。そいつは一派の幹部か?」


そう低く言ったイヴァンさんに、ルタさんは無言で肯定の合図を送った。

チャキ…、と標準を合わせたイヴァンさんの銃口は、まっすぐフォーゼルに向けられている。

一気に形勢逆転となり、痛みに顔を歪めるフォーゼルは「ちっ…」と小さく舌打ちをした。

私を庇うように立つランバートはそんなフォーゼルに向かって口を開く。


「この町で横行している人斬りの主犯は、あんただな?俺に罪を被せて、逃げるつもりか?」


すると、フォーゼルはフードの奥からランバートをじろり、と睨み、答えた。


「一派が人斬りに関わっているのは確かだが、俺は幻夢石の調査をするために人形を使って試し斬りをしているだけだ。…殺しの主犯は、俺じゃない。」


(ランバートを容疑者に仕立てあげた人斬り事件の主犯は、別にいる…?)


彼の言葉に眉をひそめた瞬間、フォーゼルはエーテルの団員たちを見つめながら言葉を続けた。


「主犯が誰かってことは、お前らが一番よく知っているんじゃねえか?そこの団長さんが殺ったように見せかけるなんて技は、団長さんをよく知ってる奴にしか出来ねぇだろ。」