ツナガっていた

「……」

 私はシチューを後回しにして彼のLINEトークに『てっちゃん、久しぶり。私、ワガママだったよ、ごめんね』と送った。彼はもう私のトークなんて消してるに決まってたけど、こうすることで自分の中にけじめがつくような気がした。

 すると、そのトークはすぐ既読になって返事が来た。

『ミィ、久しぶり。許してくれる気になった?』

 思ってもみない返事で、私はその場ですぐ彼に電話していた。
 ツーコールで電話に出た彼は一年前と変わらないマイペースな声だった。

「てっちゃん、あれどういう意味」
『え、そのまんまだけど。あの時ミィ、相当怒ってたでしょ。俺もかなり悪かったし…言い訳できなかったよ』
「いや、でも一年も経ってるよ?あれから。なんでLINEの友達切らなかったの」
『なんで……切る必要なくない?俺は一生切るつもりなかったよ』

 あまりの気の長さに驚くやら呆れるやら。
 このペースに合わせないと私はまた同じことを繰り返すんだろう。
 それでもこの気の長い彼氏を失いたくないと思った。

「会える日、ある?」
『うん、今週末ちょうど会えるよ。あ、ごめん電話だ。終わったらすぐかけ直す』
「うん」

 切れたスマホを片手に、じんわりと嬉しい気持ちが広がる。
 トークを消さないで本当に良かったと思った。
 これ以外の連絡手段を全て消してあったから。

 お母さん、本当に……なんでもやたらと切らないのがいいね。
 LINEの友達も。
 体の一部も。

 その後私はすっかり冷めてしまったシチューを、今度は美味しく頬張った。

END