売店へと着き中に入ると、一般的なスーパーのように様々な物が陳列してある。
加工食品だけではなく、野菜やお肉や果物なんかも。
魚に至っては近くの川で獲れた新鮮な物らしい。
「雨谷先輩は何が食べたいですか?」
「うーん…俺はなんでもいいかな。翼が好きな物にしていいぞ」
「私の好きな物…」
「ちなみに料理は得意だからなんでもリクエストに答える」
「料理得意なんですね。じゃあ……」
得意、と言われても何にしよう。
私だけが食べるわけではないから、単純に私の好きな物というのは除外で。
それに雨谷先輩だけに作らせるわけにもいかないし、私も作れるようなあまり凝ったり難しかったりしない物のほうがいいだろう。
誰かが嫌いな物は一番避けるべきだし、万人受けな物とか……。
「本当だ」
「え?何がですか?」
「あっ、いや……はるって翼のことよく見てるなって」
雨谷先輩の言葉に首を傾げる。
先輩は私のことをよく見てる?
どうして突然、そんなことを言うんだろう。
「急にどうしたんですか?」
「ううん、気にしなくていい。ただ、はるは本当に翼のことが好きなんだなーってな」
「なっ…」
全く予想もしていなかった回答。
ますます雨谷先輩の突然の意図がわからない。
「何を言ってるんですか…。先輩は雨谷先輩のことのほうが好きですよ」
「俺?はははっ、それは嬉しいな」
「嬉しいんですか」
「好かれてるんだから嬉しいに決まってるだろ」
本当に嬉しそうな笑顔を見せ、そう答える。

