先輩の体温が伝わる距離。


「ご褒美なんだからこういうことしてくれないと」


耳元で先輩の声が聞こえた。

すぐに起き上がり、なにかの感触のした左頬を手で触ると、熱い。

先輩の顔を見ると、自分からやってきたくせになぜか驚いた顔をしていた。

が、すぐに笑顔を見せる。


「次にご褒美をくれる時は期待してるよ~」


こんなからかってくる先輩を少しでもかっこいいなんて思ったことは速攻忘れてやる。

ドキドキしているのも急に引っ張られて驚いたからだ。


「もう先輩には一生ご褒美なんてあげませんっ…!!」


その言葉を聞いても嬉しそうに先輩は笑っていた。