そうだ。ご褒美。

ポケットから用意していたご褒美を取り出し、寝転がっている先輩の胸の上へ置く。

左手でそれを取ると、不思議そうに首を傾げた。


「何これ…棒キャンディ？」

「はい。先輩が好きと言っていたので」

「もしかしてだけど、これが翼ちゃんの言ってたとーっても良いご褒美なの？」

「そうですよ」


私が用意したご褒美は、先輩が前に好きで毎日1本は食べていると言っていた棒キャンディの詰め合わせ。

とーっても良いまではいかなくても、好きなものならご褒美にはなるだろう。

そんな安直な考えで選んだご褒美だ。

先輩は右手をあげると、グーとパーを繰り返す。


「翼ちゃん起こしてー」

「えぇ…？自分で起きてくださいよ」


仕方なく起こしてあげるために先輩の手を掴んだ瞬間、勢いよく引っ張られる。

そして左の頬になにかが当たった感触があった。