この場を離れてりりなと先輩と合流できなくなるのはいけないとここで出来る遊びを3人でしていた。
その遊びは砂でのお城作りだ。
「耀さん、スコップを取ってくださいます?」
「オッケー。はい」
「ありがとうございますわ」
「私、水を汲んでくるね」
「よろしくー」
この歳になってまさか砂でのお城作りを本気でするとは思いもしなかった。
最初は暇つぶし程度にと軽い気持ちで始めたつもりだったのだが、香澄と耀先輩が本気で作りだし、私もつられてしまっている状況だ。
海の水をバケツに汲み、香澄達の元へと戻っていると、りりなと先輩の姿が見えた。
「凄いねぇ。ガチで作ってるんだ」
「作ってみると案外面白くてな」
「よーし。じゃ、どっちがよりリアルで大きいのが作れるか勝負する?」
「受けて立ちますわよ。まぁ私達の作ったお城のほうが上でしょうが」
「かすみん言ってくれるねぇ。りりー、俺達はもっと凄いの作ろっか」
「うん!頑張ろう、はるくん!」
ビーチバレーに戻る気はなく、次は砂のお城作りの勝負が始まるようだ。
そんなことよりも気になるのはりりなだ。
ぎこちなさはなく、笑顔で話している。
それに先輩のこと「はるくん」って言った?
治療をしに行った間に一体何があってあんなに打ち解けたの?
…また、だ。
あの時と同じ…もやもやする……。
りりなが先輩と打ち解けれたことはいいことなのに…変だ。

