「りりー!」
「はいっ…わっ!?」
「えーっとこれで11っと…」
「ご…ごめんなさいっ……」
私達のチームはこれで11点目。一方、りりな達のチームは5点。
りりなはああ言っていたものの、どこかぎくしゃくしてしまっていて、それが動きにも出ている。
運動神経の良いりりなだが、空振ってばかりだ。
先輩は機嫌が悪い様子はないものの、勘付いているのか時折、少し困った顔を見せたりしていた。
「いいよ~、大丈夫。それよりボールが…」
「あっ!りりなが取って来ます!」
「ありがと…りりー、待って!」
「へ?っ…いたっ!!」
ボールを追いかけて行ったりりなが転倒し、すぐに先輩が駆け寄る。
私達もりりなの元へと駆け寄った。
りりなの足の裏からは血が流れていて、側には瓶の破片が落ちている。
その破片の先端は赤く染まっており、おそらくこれを踏んでしまったのだろう。
「りりな、大丈夫っ!?」
「すぐに医者を手配致しますわ!」
「えぇっ!?香澄ちゃん大丈夫だよっ!ちょっと踏んでこけちゃっただけだから!」
「ですが…」
「深く踏んではいないし、本当に大丈夫だよ」
「でしたら良いのですが…」
「部屋に救急箱があるから手当てをしに行こっか。俺が連れて行くよ」
「いえ!そんな!耀くっ…耀先輩に迷惑をかけるわけにはっ…!」
顔と手をぶんぶんと横に振る。
自分一人で大丈夫だと立ち上がろうとしたりりなを止め、背を向けてしゃがんだのは先輩。
りりなの左手を掴み、自分の首元へと引っ張る。
「えっ!?あのっ…!?」
「足の裏怪我してるんだから1人で歩いてはいけないでしょ」
「でも、松木先輩にも迷惑をかけるわけにはっ…」
「ぜーんぜん、迷惑じゃないよ。それに、俺がもう少し早く気づいてあげていたら怪我しなかったわけだしねぇ」
そう言うと、りりなを軽々とおぶって立ち上がった。

