腹黒王太子の華麗なる策略

彼が結婚してしまったら、辛くて王太子付きの侍女なんてできないな。

悲しくて涙が頰をつたる。

自分も王女さまだったらって何度願っただろう。

でも、どんなに願ったって自分の身分は変わらない。

王女さまにはなれないのだ。

悲嘆に暮れる私の足元でニャア〜と、猫の鳴き声がした。

足元に目を向ければ、それは私が赤ちゃんの頃から一緒にいる白猫のモコだった。

その目は私と同じ紫。

私には父がいないし、母も三年前に亡くなってしまったから、モコは私の唯一の家族だ。

「……お前、私を探しに来たの?」

屈んでモコと目を合わせると、はニャア〜と返事をして私の肩に飛び乗った。

「お腹が空いたのね。ミルクを用意してあげるわ」

涙を拭って自分の部屋に戻ろうとすると、濃紺の衣を身に纏った黒髪の青年が血相を変えてこちらに走って来た。

手には書状らしき物を持っている。