腹黒王太子の華麗なる策略

私の優しい王子さまは、時には残酷。

……クリスにどう言って欲しかったんだろう。

妹みたいに思ってるって?

それも……嫌だ。

これでいいのよ。

クリスはちゃんとわかってる。

私が王族ではないって……。

「……私、戻らなきゃ」

クリスから視線を逸らし、彼が脱いだ寝間着を手に取る。

彼だっていつまでも独り身ではないだろう。

いずれどこかの国の王女と結婚するのだ。

その時、私は笑って祝福できるだろうか?

「アン、慌てて階段で転ばないでよ」

クリスが優しく注意するが、今の自分の顔を見られたくなくて返事もせずにドアを開け、すぐに部屋を出た。

クリスの寝間着を胸に抱き締め、ドアにもたれかかる。

こんな風にクリスの側にいられるのもあと少しかもしれない。