腹黒王太子の華麗なる策略

彼の部屋に行くのは嫌だったけど、ラルフ宰相に頼まれては断れない。

金属製の部屋のドアの前に立つ。

……やっぱりクリスに会いたくない。

でも、これも仕事だ。

ハーッと深呼吸して覚悟を決め、控え目に二回ノックする。

「はい」と返事をするクリスの落ち着いた声が聞こえて、私はドアを開けると一礼した。

「エッジウェア王国のセレナ王女が到着されたそうです」

そう報告をして顔を上げると、クリスは私に目を向け穏やかに笑った。

「ああ、ありがとう」

いつものクリスだ。

でも、少し他人行儀なような気がする。

彼を遠い存在に感じた。

……これが、本来の私達なんだよね。

今まで近くにいすぎたんだ。

でも……それももうすぐ終わる。