腹黒王太子の華麗なる策略

「そうか。ダクトス、今宵は歓迎の宴の準備を頼む」

侍従長にそう指示を出すと、ラルフ宰相は私に目を向けた。

「アン、このことをクリス様に伝えてくれ」

「はい」

ラルフ宰相に向かって恭しく頭を下げる。

そしたら、彼にポンと肩を叩かれた。

ん?

不思議に思って顔を上げたら、彼は私に顔を近づけて声を潜めた。

「大丈夫。あの方の大事なものは変わっていません」

そう言ってラルフ宰相は私と目が合うと、優しく微笑む。

だが、私には彼の言葉の意味がわからなかった。

ラルフ宰相は侍従長と話をしながら、この場を歩き去る。

ふたりの後ろ姿を見送ってから、私はクリスの部屋に向かった。