腹黒王太子の華麗なる策略

この人は……何を能天気なこと言ってるんだか。

それは、五歳とか六歳の頃の話だよ。

「私達もう子供じゃないんだよ。お互い結婚しててもおかしくない歳なんだから」

クリスは王太子だし、妃が何人いてもおかしくないのだけど、病弱だからと言って婚姻の話をことごとく断っているらしい。

「ふふ、そうだね。でも、アンを見たらしたくなっちゃって」

クリスは思いつきでやったのだろうけど、キスされる私の身にもなってよ。心臓が爆発しちゃう!

「自制して下さい。クリスは王太子さまで、私は侍女なの。一緒に育ってきたけど、私はクリスの妹ではないんですからね」

なるだけ平静を装い、厳しい口調でクリスに説教する。
「うん。そうだね。アンは、僕の妹じゃない」

クリスは、にこやかに笑って頷く。

そんな彼の言葉に胸がズキッと痛んだ。

そう……私は小さい頃からずっと彼に恋している。

でも、叶わぬ恋だ。身分が違い過ぎる。