腹黒王太子の華麗なる策略

「ちょっと!服を引っ張らないでよ!死ぬかと思ったじゃない!」

首を押さえてディオンに文句を言えば、彼は悪びれた様子もなく言った。

「お前がボーッと歩いてるからだろ?目の前柱だぞ」

「あっ……」

確かに目に前は柱だった。

あと一歩歩けば、顔面をぶつけていただろう。

気まずくて黙っていると、ディオンは心配そうに私の顔を覗き込む。

「お前、大丈夫か?」

「柱にぶつからなかったし大丈夫」

そう返答するが、私がディオンの質問の意味をよく理解してなかったようで、彼はもう一度言い直そうとする。

「いや、そういうことじゃなくて、兄上の結婚……‼︎」

「クリスの結婚、やっと決まって安心した」

ディオンの言葉をピシャリと遮り、私は無理矢理笑顔を作った。