腹黒王太子の華麗なる策略

でも、今は考えるのがつらい。

「……クリスがわからない。わからないよ!」

クリスの胸にドンと両手をついて彼を押しのけると、岩風呂を出て脱兎のごとく逃げ出した。

浴場の出入り口のドアにもたれかかり、息を整える。

やっぱり、これから結婚するクリスの側にいるなんて無理だ。

一体どういうつもりで、彼はあんな激しいキスをしたのだろう。

クリスが何を考えているのかわからない。

私をからかっているの?

今夜のクリスは別人みたいだった。

さっき見た月のようにどこかミステリアスで、意地悪で……。

あれは……誰?

それに、ショックを受けているのに、私の身体は熱く火照っている。

私……おかしい。

自分の身体を抱き締めながらじっと考え込んでいると、コレットが浴場にやってきた。