腹黒王太子の華麗なる策略

「今夜が楽しみだな」

私の耳元でクリスは魅惑的に囁き、もう一度ゆっくりとキスをする。

「コホン。あのう、お取り込み中大変申し訳ないのですが、大聖堂へ向かうお時間です」

突然ラルフの咳払いが聞こえてきて、ハッと現実に戻った私。

やだ、恥ずかしい〜!

クリスに夢中になってて、ふたりだけじゃないのすっかり忘れてたよ。

ゆでダコのように真っ赤になる私を見て、クリスは面白そうに笑う。

「ここでそんなに照れてどうする?この後、式でもキスするんだが」

「だって……恥ずかしいものは恥ずかしいの。人前でキスなんて慣れないよ」

「それは、もっとキスして欲しいって催促か?」

「違います!」

いつものようにクリスは私をからかう。

式で失敗したらどうしようかと前日から緊張していたのだけど、彼が私を上手く導いてくれて、式は無事に終了。