「これって一体?」

雪の代わりに舞うバイオフルールの花びらを見て私は驚きの声を上げた。

吹雪は吹雪でも、これは綺麗な花吹雪。

ラミレス王が眠っている洞窟を探し回っていたのだけど、私達が歩いた場所だけなぜかバイオフルールの花が咲き、周囲は淡い紫に色づいた。

「魔法みたい」

それだけではない。

そこに咲く草木から声が聞こえる。

〝あなたが来るのを待っていました〟

〝よく来てくれました〟

まるで春を待っていたかのように、私達を歓迎してくれているような気がする。

ずっと雪に閉ざされていたからだろうか。

山全体が生き生きしていて、春の息吹を感じる。

「盛大な歓迎だな」

私の髪についていた花びらを手に取り、クリスは穏やかな笑みを浮かべる。

「綺麗だね」